和紅茶とは、日本国内で栽培・加工された紅茶です。
地紅茶や国産紅茶とも呼ばれますが、海外の紅茶との一番の違いは“多様性”です。
日本の固有品種を用いて、日本各地の気候風土で作られる紅茶は多岐にわたるため、
「和紅茶」はそれらを包括した「日本の紅茶」として
ブランドを成立させる役割も担っています。
国産紅茶の機運の高まりに応じるように、「和紅茶」という言葉は、
ここ最近ようやく世間的にも浸透してきたように感じられます。
そもそも、「日本でも紅茶を作っていたの?」と思われる方も多いかもしれません。
緑茶のイメージが強い日本ですが、実は紅茶生産も行われており、紐解けば1870年代の「明治初期」にまでさかのぼります。
1877年(明治10年)には、すでに約3トンの紅茶が輸出されていたとの記録があります。
世界的な紅茶需要の高まりとともに、日本の紅茶作りはその後も発展を続けます。
終戦を経て昭和に入ると、国内需要も伸び始めたことで勢いはさらに加速し、1955年(昭和30年)には8,525トンを生産し、
5,000トンを超える紅茶が輸出にまわされていたそうです。
しかし、1971年の紅茶輸入自由化以降、時代の波に押され、国内生産はほぼ壊滅状態にまで追い込まれてしまいます。
そんな中でも、紅茶産業が下火になって以降も日本は独自の品種改良を地道に続け、
1995年に「べにふうき」という日本で初めての紅茶用品種の誕生という形で、その成果は結実します。
「べにふうき」のような紅茶に適性をもった優良品種が登場したことにより、
2000年に入った頃から、徐々に国内生産にも上昇基調が見られるようになりました。
こうした、明治から続く紅茶生産の地道な研究と継承が、現在の和紅茶ブームの
重要な礎となっていることには、疑いの余地がありません。
現在、和紅茶は産地ごとに様々な特色を備え、新たなステージを迎えつつある、といえます。
和紅茶は、様々な品種で作られています。品種というのは、お米を例にとって考えると分かりやすく、
「コシヒカリ」や「あきたこまち」のように、同じお米であっても品種の違いによって食味が異なり、
私たちの好みも分かれます。
ちなみに、和紅茶の品種といっても、それは緑茶を含むお茶全般の品種のことを指していて、
紅茶だけの品種が存在するわけではありません。これは、もともと同じお茶の樹から、
製法の違いによって緑茶ができたり、紅茶ができたりするためです。
一つの品種から、紅茶も緑茶も、どちらも作ることができる、というわけです。
また、ブレンドされずに単一の品種のみから作られたお茶は「品種茶」と呼ばれ、
品種自体の個性を表現したものとして、近年特に注目を集めています。
レインブラントティーが取り扱っているのも、ほとんどが単一の品種から作られた「品種茶」なのです。
お茶の品種はとても多く、2019年時点で名前の付けられた品種は、119品種にのぼります。
そのほとんどが緑茶を作るための品種ですが、中には紅茶製造に向いた品種や、
半発酵茶(烏龍茶)や釜炒り茶の製造に向いた品種などもあります。
日本で最も有名な品種といえば、やはり「やぶきた」です。これは緑茶向きの品種で、
日本全国の栽培面積の実に約7割を占めるともいわれています。
日本では、この緑茶用のやぶきた種から多くの和紅茶が作られています。
また、紅茶に適性のある品種として、特に有名なものは「べにふうき」が挙げられます。
味・香り・水色の三拍子が揃った、ボディ感のある強い紅茶を作ることができる品種です。
「紅茶に適性のある品種」という表現をすると、「べにふうき」でなければ美味しい紅茶は作れないのか、
と疑問に思うかもしれません。結論からいうと、決してそういうわけではありません。
確かに、緑茶用の品種は紅茶への加工が難しく、緑茶用品種で美味しい紅茶を作るのは、
決して簡単なことではありません。ですが、フルボディの紅茶だけが素晴らしいというわけではなく、
例えばダージリンのファーストフラッシュやヌワラエリヤは、グリニッシュな特徴を持ちながら
高級紅茶としての地位を確立しています。
緑茶用品種であっても「グリニッシュさ」や「旨味・甘味」を求めることで、
べにふうきとは異なる「日本らしい紅茶」・「緑茶に近い紅茶」を作ることができます。
今後も、作り手の技術がさらに向上することによって、それぞれの品種特製を活かした
様々なおいしい和紅茶が登場することでしょう。期待に胸が膨らみますね。
レインブラントティーでは、和紅茶の品種を、
「緑茶向き品種」、「紅茶向き品種」、「釜炒り茶向き品種」、「その他の特徴のある品種」
の4つに分けて、販売を行っています。
品種はあくまで特徴の一面を表現したものに過ぎませんが、品種の特徴を知り、品種から選ぶ面白さを知れば、
さらに和紅茶の奥深さを実感することができるように思います。
ぜひ、「品種」という観点からも、皆様のお好きな和紅茶を選んでみてください。
しかし、和紅茶のおもしろさは、「産地」や「品種」だけでなく、「茶園」によっても変化する、
数えきれないほど多種多様な、紅茶のバラエティを楽しめる点です。
そして何より、"日本"という私たちがとても身近に感じられる場所で生産されている点です。
気になったら、すぐに足を運ぶことができる距離で、紅茶が作られているのです。
海外の茶園に行く機会はなかなか得られませんが、イベントやオンラインセミナーなどに参加すれば、
日本の生産者さんと直接お話しする機会が得られます。紅茶好きにはたまらない経験であると同時に、
生産者さんから直接紅茶作りのお話を聞くことは、自分たちが普段飲んでいる紅茶を、
より深く知ることにもつながるはずです。
このように、和紅茶を作ってくださる生産者の方、そして和紅茶が長い時間をかけて発展してきた、
様々な側面にスポットを当てれば、和紅茶のことを、少しは身近に感じていただるのではないでしょうか。
レインブラントティーが目指す紅茶は、「私たちの生活にそっと寄りそう」紅茶です。
和紅茶が私たちにとってより身近な存在になり、より身近に楽しめるようになるために、
レインブラントティーはこれからも、世界に誇る素晴らしい和紅茶の世界とそれを作る生産者さんの思いを、
皆様にお伝えする努力を続けていきたいと思います。
今後も、皆様にとって、和紅茶が少しでも身近な存在になるためのお手伝いができれば幸いです。